What is WWOOF?

豪州的遊牧生活を読み進める前に知っていてほしい、WWOOFについてのキソのキソ。ここは説明だけなので、さらさら〜っと目を通したら、疲れないうちに【体験記へGO! 疑問が出たら、また戻って来て必要な部分を読む。そんな辞書的な使い方でどうぞ。

● WWOOFって何?

WWOOFとは、ファームにおける「労働力」と「食事・宿」の交換の仕組み。お金のやりとりは一切発生しない。つまり、あなたがファームで1日あたり46時間働く代わりに、すべての食事と宿泊場所は、そのファームのホストから提供されるのだ。イギリスで発祥したWWOOFはオーストラリアやニュージーランドで発展し、今や日本を含め、世界50ヵ国以上に広まっている。

 

● WWOOFって何の略?

オーストラリアではWWOOF=“Willing Workers On Organic Farm(有機農場で働きたい人たち)”であり、これはWWOOF本の表紙や本文にも堂々と書かれている共通認識だ。しかし、WWOOFジャパンのウェブサイトでは他にも“Working Weekends On OrganicFarms(有機農場での週末作業)”や“World Wide Opportunities on Organic Farms(世界に広がる有機農場での機会)”とも紹介されていて、その定義は時代や国とともに異なるらしい。

 

 どうやって参加するの?

参加するにはワーカー側、ホスト側の両方とも、それぞれWWOOF事務局に登録が必要。オーストラリアの場合、登録料は1年間65ドル(2012年現在)。登録すると、国内各州の登録ファーム情報・連絡先が一覧になったWWOOF本と、会員ウェブサイトにアクセスできる権利がもらえる。このWWOOF本や会員ウェブサイトを使って、自分がステイしてみたいファームを探し、直接メールや電話でコンタクトをとる。WWOOFオーストラリアのホームページによると、登録ホスト数は2400ヵ所以上(※2012年現在)。うち約240ヵ所が認定オーガニックファームで、約1800ヵ所は、認定ではないがオーガニック農法を使用している伝統ファーム、残りはファーム以外の登録だという。

 

 

● カップルでも子連れでも、何歳でも

WWOOFオーストラリアは18歳以上80歳以下の健康な男女であれば誰でも参加できる。また人数も、事前の申し出によりホスト側が承諾すれば、ひとりはもちろん、カップルや子連れの家族などでも参加が可能だ。ワーキングホリデーのセカンドビザ取得目的だけではなく、例えばオーストラリアの都市に在住している方が、動物や自然の近い田舎の生活を体験しにいく、という利用の仕方もできるだろう。WWOOF本をめくっていると“mature age OK”や“children OK”などと明記しているホストもいるので、よくチェックしてみよう。

 

1週間でも、3ヵ月でもOK

WWOOFオーストラリアのホームページによると、ステイの最短日数は2日間。最長期間は、ワーカーとホスト、双方が合意すれば数ヵ月に及ぶこともある。だが、一般的にはWWOOF本の中では各ホストが、「最短1週間」「長期希望」「短期希望」などと各自の希望を明記してある場合が多い。一般的には、長期でステイしたい場合もまずは12週間と伝え、実際に数日間働いてみてから交渉していく方がよいと思う。

 

特にワーキングホリデーのセカンドビザを目的としてWWOOFを利用する人は、ビザ申請に必要な日数である3ヵ月間を1ヵ所だけで過ごす人もたくさんいるし、気に入った場所であればそれもひとつの選択だと思う。だが、もしあなたが旅好きだったり、新しい出会いが好きだったり、オーストラリアの色々な面を知りたいと思うのであれば、個人的には数週間程度のステイで遊牧民のように点々と移動を続ける、WWOOFしながら旅をする」スタイルをおすすめしたい。WWOOF登録は、オーストラリア全域、計2400以上(※2012年現在)の家庭にスッと入りこませてもらえる年間パスポートのようなもの。活用しない手はない。

 

 

●どんな仕事をするの?

仕事内容は、ホストによってバラバラだ。雑草とり、土を耕す、農産物の収穫や種植えなどから、鶏や牛など動物の世話、また家や倉庫の掃除や食事づくりを含めた家事手伝いなどをすることもある。どの部分を手伝ってほしいかはホストによって違うのでその都度確認しよう。もし大工や金属加工など特別なスキルを持っているなら、家の修理など建設関係の仕事ができるとして特に歓迎するホストもいる。

 

●いいホストにめぐりあうには?

大量のインフォメーションの中から、いいホストを見つけるにはどうしたらいいのだろう? 残念だが、確実な方法はない。私自身も「合わない」と感じたホストはいたし、WWOOFerWWOOFする人)を単なる労働力としか見ていないホストが存在するのも事実だ。また友人の中には物理的な嫌がらせを受けたという人もいるので、「すべてのホストがすばらしい!!」などと簡単に言い切ることはできない。

 

だが一方で、家族のように受け入れてくれ、ともに働き、会話を楽しんでくれる家庭も多い。そういう家族にめぐりあう確率を高めるためにも、数週間スパンで移動する遊牧民スタイルをお勧めしたい。その中で、特に気に入ったところには交渉して長期滞在すればいい。

 


●気候が違えば、生活も違う

知っての通り、オーストラリア大陸は広い。その広さはヨーロッパがすっぽりと入ってしまうほど。当然、気候の差も激しい。私が旅したルートだけでも、一年を通して温暖な亜熱帯性気候のクイーンズランド州、そのクイーンズランド州の中で最も寒く、日本のように四季があるスタンソープ、雨期と乾期をもつ熱帯性気候の常夏ダーウィン、砂漠気候で川さえひからびているアリススプリングス、湿潤な冬と乾燥した夏で快適な地中海性気候のアデレードなど、世界一周をしたのではないかと思えるほどの多様さだ。

 

気候が違えば、当然服装や食べ物、生活時間などライフスタイルも異なる。移動することで、オーストラリアというひとつの国の中にある、実に多様なライフスタイルも見えてくる。

 

 


● オマケ(だけど重要):“WWOOF”の発音について

余談だが、私が文字数を無駄にしてまで「ウーフ」ではなく「WWOOF」と頑なに書き続けているのにはわけがある。日本語発音の「ウーフ」では、英語ネイティブにどうしても通じないのだ。外国人の発音する下手な英語に慣れているWWOOFホストにすら、「『ウーフ』って何?」と聞き返されてしまった。

 

頭の中に「ウーフ」と認識されていると、英語で話そうとしてもその発音で出てきてしまう。だからもともと脳内にアルファベットで認識しておこう。そして私のように「W」の発音が苦手な人は、ネイティブの人にリピートしてもらって練習しよう(笑)。“WWOOF! Wood! Wool! Woolworth!” というホストの特訓のおかげで、私の「WWOO」の発音は当初よりかなり改善された…と思いたい。

 

 

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※上記の情報は、2012年9月時点のものです。最新の情報は直接各国のWWOOF機関へお問い合わせください。